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[インターハイ]2回戦|関西対決を制したのは大商学園!徹底した守備で神戸弘陵に競り勝つ

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

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2024年6月19日(水)
令和6年度 全国高等学校総合体育大会 2回戦
神戸弘陵学園 1-2 大商学園
得点:[神戸弘陵]山田愛実(41分)、[大商学園]中野梨緒(35+2分)、笠崎愛乃(48分)




インターハイは7月31日、2回戦4試合が行われた。大商学園(大阪)は神戸弘陵(兵庫)と対戦。2-1で競り勝ち、8月2日に行われる準決勝に駒を進めた。

近畿代表2チームが2回戦で顔を合わせることとなった。北海道文教大附属(北海道)に4-0で勝利した大商学園に対して、神戸弘陵(兵庫)は優勝候補の一角である十文字を4-0で下している。

「1回戦で勢いをもって戦ってたので、2回戦でも間違いなく2トップの走力を活かしてくるとわかっていた。出来るだけそれを出させないように、まずは守備から入る」(岡久奨監督)。

勝手知ったる相手ではあるが、1回戦で十文字を破る原動力となった神戸弘陵の2トップ、鈴木梨花(2年)と山田愛実(2年)を活かした攻撃への警戒を強める。1点差ゲームになることも念頭に置いていたというキャプテンのDF太田美月(3年)は、神戸弘陵の2トップへの対策について次のように話した。

「相手の良さを消すことを徹底して、先生(岡久監督)からまずは守備からと伝えられていました。相手の2トップが速いし、前に前にというタイプの選手なので、縦を蓋するというところとか、難しいことはせず簡単に割り切るというところも大事だったので、まず構えて前向きに守備することを意識しました」。



試合が動いたのは前半アディショナルタイム。左サイドでボールを受けたDF中野梨緒(2年)が左足でクロス気味に放ったボールがゴール右隅に吸い込まれていく。大商学園がリードを奪った。

意外な形でゴールが決まった大商学園だったが、前半は神戸弘陵のシュートをゼロに抑え込んでいる。前述した通り、守備の意識を徹底して試合に入る。最終ラインがロングボールをはね返し、中盤ではボランチがバイタルエリアに入ってくる相手を潰していく。

前半17分には中野がGKとDF間のスペースへ浮き球パスを送ると、そこにFW佐藤ももサロワンウエキ(2年)が走り込んでくる。ここは素早く飛び出してきた神戸弘陵GK岡村陽生(3年)に防がれた。

さらに前半33分には神戸弘陵の自陣FKからのボールを受けようとした相手からボランチのMF近藤柚月(2年)が奪い、MF稲田梨音(3年)がスルーパス。佐藤が抜け出してGKと1対1を迎えるが、オフサイド判定となった。

得点にはつながらなかったものの、いい守備から攻撃につなげることが出来ていた。狙い通りの展開に持ち込み、しっかりとゴールも奪って前半を折り返した。

後半に向けて前線の配置を変えた神戸弘陵が反転攻勢に出る。後半4分には自陣でボールを奪った鈴木のパスからMF横井睦(2年)がドリブル突破を仕掛ける。この場面は対応した太田が体を入れてカット、ペナルティエリアへの侵入を許さない。

しかしその2分後、コーナーキックから同点ゴールを許してしまった。さらに後半7分、9分とチャンスを作るが、前者はオフサイドとなり、後者はDFラインがはね返した。

「失点してしまったけど、その後にみんな笑顔だった。後ろから前を見た時に、みんなの表情を見て大丈夫だなと安心できた。もちろん追いつかれたけど、焦りというよりは、行けるという根拠はないけど自信はありました」(太田)。

失点しても士気が落ちるどころか笑顔を絶やさない仲間を見て、勝利を信じる気持ちには一点の曇りもなかった。ゴール前で相手の攻撃をはね返していた太田は、同点にして勢いに乗る相手を冷静に見る。その眼は背後にある広大なスペースをとらえていた。

後半13分、自陣でのFK。中野、DF玉城菜月(3年)とつないだボール太田に渡ると、神戸弘陵が全体を押し上げ寄せてくる。その瞬間を見逃さなかった。得意のロングフィードを放ち、一気にひっくり返す。狙い通り、ペナルティエリア角に届けられたボールに走り込んだのは佐藤。軽やかなタッチでマークする相手をかわすと、ゴール前へ丁寧に転がす。ここに勢いよく走り込んできたMF笠崎愛乃(2年)がダイレクトでゴールネットに突き刺す。この得点が決勝点となった。

「守備を自分たちで徹底してやれたことがいい結果につながったと思います」と、試合を振り返った太田は次戦に向けて次のように意気込みを語っている。「今日の相手に対しては後ろからしっかり蹴って回収してという形が多かった。次はもっと落ち着いて回して、自分たちの時間を作れたりしたら、もっと攻撃の選手たちの良さも引き出せると思うので、そこは次にもっとやっていきたい」。
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