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[インターハイ]常盤木学園、自分たちのサッカーを表現して豊川に逆転勝ち!

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)
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2024年7月30日(火)
令和6年度 全国高等学校総合体育大会 1回戦
豊川 1-2 常盤木学園
得点:[豊川]濵田優音(7分)、[常盤木学園]髙木沙都(14分)、岡村まどか(70分)




全国高等学校総合体育大会は7月30日、1回戦8試合が行われた。常盤木学園(宮城)は豊川(愛知)と対戦。2-1で逆転勝利を収めた。

今シーズン、常盤木学園の選手たちは、どんな状況に立たされても慌てることがない。自分たちのサッカーに自信を持っているからだ。この日は開始早々に先制点を許しながらもすぐに追いつくと、その後のアクシンデントを乗り越えて主導権を引き寄せ、終了間際に勝ち越し点を奪ってみせた。

前半5分、ペナルティエリア内で相手選手を倒してしまいPKを献上。このPKをFW濵田優音(3年)が決め、豊川が先制する。

「前半の早い方だったので、 まだ点取り返せるチャンスはあると思った。落ち着いてプレーすることを心がけました」と、常盤木学園のキャプテン・髙木沙都(3年)という言葉どおり、すぐに試合を振り出しに戻した。

前半14分、常盤木学園は右サイドでスローインを受けたFW東堂正枝(3年)がドリブルでペナルティエリアに侵入すると、相手を引きつけてラストパス。ゴール前で待ち構えていたMF髙木沙都(3年)がワンタッチでゴールへ押し込んだ。

「正枝が結構ドリブルで仕掛けてくれて、マイナスがめっちゃフリーだった。正枝からマイナスで受けて、ちゃんと決めようと思ってしっかり打ちました」(髙木)

試合を振り出しに戻した常盤木学園だったが、アクシデントが発生する。前半25分にMF菱沼みずき(3年)が負傷退場。担架で運び出され、交代を余儀なくされる。ここから一進一退の攻防が続き、互いにシュートシーンを作ることができない。1-1で前半を終えた。

常盤木学園はハーフタイム、菱沼と交代で入ったFW築舘海藍(1年)に代わって、DF星吏紗(3年)を投入。星が左サイドバック、海野が一列前に上がり、フォーメーションを整えて後半に臨む。

最初のビッグチャンスは後半12分。DFラインから素早く縦につなぐと、右サイドを髙木がドリブルで抜け出す。折り返した合わせたのは海野。その2分後には右サイドを駆け上がったFW柳町玲音(3年)の折り返しを東堂がシュート。いずれも決定的なタイミングでシュートを放ったが、枠をとらえられなかった。

常盤木学園は選手のポジションチェンジを交えながらボールを動かしていく。後半21分にはDF阿部菜々子(2年)が鋭いミドルシュートを放つなど、DFラインからも攻撃に加わる。一方、豊川の選手たちは足を攣らせて、次々とピッチに倒れ込んで行った。

そしてついに1-1の均衡が破れる時がやってきた。アディショナルタイム突入直前の後半35分、常盤木学園は柳町の突破からコーナーキックを獲得する。キッカーはもちろん髙木。コーナースポットにボールを置き、ゴール前の状況を確認する。

「(板倉)瑞穂が真ん中にいて、そこにマークが集まってる印象があった。ファーサイドに蹴れば(岡村)まどかが決めてくれると思ったので、そこを狙って蹴りました」(髙木)。

髙木がファーサイドめがけて蹴ったボールに走り込んだのはDF岡村まどか(3年)。「蹴られた瞬間にこれはいけるって思いました。相手の前に入って触って、相手も一緒に押し込みました」と、県予選決勝を再現するようなシーンで、今度は頭で押し込んだ。

決勝点を叩き出したふたりは、次のように試合を振り返った。

「うまくいかないところもあったんですけど、最後の方はサイドからビルドアップで結構パスが回っていたのでそれは良かった」(髙木)。「決め切ると言う修正は必要ですけど、ボールを回すことはできたと思います」(岡村)。

失点しても、1-1の状況が続いても、アクシデントが起こっても慌てることはなかった。しっかりボールを動かすことで主導権を引き寄せ、相手の体力を奪っていった。自分たちのサッカーを表現し切った常盤木学園が2回戦に駒を進めた。